ハンマーで哲学する⑪|名前のないあなたへ

宇宙の中に惑星が中央に浮かび、光り輝く。「ハンマーで哲学する#11名前のないあなたへの文字入り。

この連載『ハンマーで哲学する』は、

ONF の世界を理解するために、自分の内面をニーチェのハンマーで叩いていった記録です。

このページは、第11回(全12回)です。

ルールは、混乱を減らすために必要なものである。

しかし、

それを疑えなくなったとき、

ルールは思考を止める力にもなる。

【自己正当化の物語】

その正体は——

ルールを守るのが善人、という神話

ルールという「他人の言葉」を信じること。

これが、

奴隷道徳。

問題は、ルールそのものではない。

ルールは、社会を混乱から守るために必要なものだ。

しかし、ルールに寄りかかりすぎて、自分の足で立つ力を忘れてしまうとき、

人は、“考える力” を手放してしまう。

他人の言葉——ルールを疑えなくなることが、問題なのだ。

“疑えない” というのは、“信じている” ということ。

【ルールを守りましょう】という教義は、

人々が

“他者の言葉” を疑わない状態になりやすくする言葉。

人々が、

“他者の言葉” を信じる状態に

安心を感じるようになる言葉。

同じであること。

外れないこと。

それは、不安を和らげる。

しかし、

緊張を取り除こうとする力が舵を取ろうとすると、

人々は、生命力を弱くする方向へと向かう。

自然な位相がひっくり返る。

弱さが善とされ、

強さが疑われることもある物語。

それが、自己正当化の物語。

ここでいう弱さとは、
人格の弱さではなく、
自分の価値を創造する力を手放したときに生まれる、
生命力の弱さのことである。

神話が常識になっていれば、

他者に価値を委ねる者が、

舵を取ることができる。

善人——歴史的に作られた価値観に従う者が、

優位になれる神話。

作られた価値観に従うだけでは、

人間は弱くなる。

弱さが “善” となる奴隷道徳。

ルールを守っていることを “善” とし、

個人が創造した意味を否定する。

これが、ルサンチマンの創造した神話。

【自己正当化の物語】——ルールを守るのが善人

この物語は、花崗岩ではない。

この神話は、“生命力を抑え込むための嘘” でできている。

人間の本質から外れたところへと、人々を迷い込ませる。

「ハンマーを持つ力」

「自分の土台を疑う力」

この力を持つ者が、

新しい世界へ行ける。

強い生命力を持つ人は、

もっと生きようとする。

もっと表現しようとする。

もっと豊かになろうとする。

もっと、もっと——

強い生命力は、

善でも悪でもない。

正しくも間違ってもいない。

名前が付けられる前に、ただ “生きようとする力” が動く。

目的や意味はなく、

ただ、光へと向かおうとする生命の根源である衝動。

まだ名前のついていない衝動。

善悪よりも深いところで、自分を動かす力。

世界に向かって伸びようとする、根源的なエネルギー。

まだ言葉になる前の、かすかな震え。

生命の根源的な衝動。

生物の持つ純粋な衝動。

この衝動が自分を形作ろうとする力が、

《力への意志》——ニーチェ

強い生命力が、創造へと向かう。

力への意志は、新しい世界を創る。

世界の創造者は、“自分” 。

新しい世界を生きる者は、

もっと強く。

もっと自分らしく。

もっと自由に。

もっと、もっと——

世界の常識——【自己正当化の物語】を、多くの人々は信じている。

これが、私たちの社会に見られる

一つの現実

「私はちゃんとルールを守って、偉いでしょ。」

——他者の言葉に従うことで、

自分が優位だと感じることができる。

「ルールを守ろうとしないあの子は、善くないよね。」

——常識を疑う他者を否定することで、

自分が優位だと感じることができる。

【自己正当化の物語】を世界の常識にすることで、

他者の言葉に従う者が、

「自分が正しい」と感じることができる

【自己正当化の物語】は、

“強さ” を “悪” と見なすことで、

人々の心の安定を図ろうとする、甘い蜜。

安心、平穏を求め、

人々は、甘い蜜に吸い寄せられた。

他者に従い続けていたルサンチマンは、
他者に従う自分を “劣っている” と感じた。
自分のありのままの姿を愛せないルサンチマンは、
妬みの矛先を他者へと向け、この神話を生み出した。

自己正当化の物語も、
力への意志が働いて創造されたもの。
——もっと強くなりたい。

「自分は優れている」「自分が正しい」と感じることができるこの神話は、
多くの人々に受け入れられやすいものであった。
だから、この物語は世界に広まり、人々が信じるようになったのだ。

強い生命力を持つ者が、文化を創造する。

他者に舵を委ねる者が、文化を安定させる。

これは、何十万年もの間、人類が発展し続けてきた、本来の位相。

創造と安定のエネルギーに満ち満ちている、本来の位相。

生じる位相は、強さの違い。

「強い力がある」「弱い力がある」

ただ、それだけ。

善も悪もない。

正しさも間違いもない。

あるのは、力。

人間は、生物。

強い生命力を持つか、弱い生命力を持つか。

そこに存在するのは、力。

花崗岩には、

優劣は存在しない。

あるのは、力。

【自己正当化の物語】——ルールを守るのが、善人

この神話は、創造のエネルギーを抑え込もうとする。

人間の生命力を隠させ、

成長を停滞させる。

人類を衰退へと

向かわせる。

この神話が世界に広まって信じられるようになったのは、

たった、数千年の間だけ。

だから…

だから、きっと…

私たちが、

仮面を捨て、

真心を見つけることができたら——

偉大な個人は、

自ら秩序を生み出す。

他者否定の力に巻き込まれない。

独立した強い精神を持ち、

意味や価値を噴き上げる。

その歩みは、

誰にも見つけられていない。

自分ですらまだ知らない。

誰にも言語化されない、

“自分だけの力” から始まる。

完成した自分なんて存在しないのに、

それでもなお、

自分の形を作ろうと、

変化し続ける。

そして——

光へ向かって歩き出すのは、

名前のない あなた。