嘘つきになる親

遊園地、気球、雲、太陽、アイスクリームなどの柔らかい雰囲気の切り絵。「嘘つきになる親」のタイトル文字入り。

他者の靴を履く

他者の靴を履く ~アナーキック・エンパシーのすすめ~

ブレイディみかこ著 文芸春秋

先述した NHK の特攻隊の特集の放送があった終戦の日、この特集について取り上げていたニュース番組で、ブレイディみかこさんのインタビューが放送されていました。

的を射た意見だったので、本を読んでみました。
私には、難しかった~!!
だけど、理解できた部分については、まさにその通りだ!!と思えることばかりでした。
物事の本質、大事なものを見極めているように感じられました。
イギリス在住、子育て中の方で、進んだヨーロッパの教育について、今、私たちに必要な事柄について、この本は伝えてくれています。

著者の息子さんは、学校で、「テロや EU 離脱や広がる格差で人々の分断が進んでいる今、エンパシーがとても大切です。世界に必要なのはエンパシーなのです」と教わったそうです。

シンパシー(同情)と言葉は似ていますが、違うものです。

エンパシーというのは、イギリスの授業で必ず教えられることの1つだそうです。

エンパシー(empathy)

他者の感情や経験などを理解する能力

別にかわいそうだとも思わない相手や必ずしも同じ意見や考えを持っていない相手に対して、その人の立場だったら自分はどうだろうと想像してみる知的作業

引用:『他者の靴を履く』 P14,15より

さらに、エンパシーの概念は8つあると言われているそうです。

1.他者の内的状態(思考と感情を含めて)を知ること

2.観察対象である他者と、同じ姿勢になる、または、同じ神経的反応が生じること

3.他者が感じているような感情を抱くようになること

4.自分自身が他者の立場にいるところを直観あるいは投影すること

5.他者がどのように考えたり感じたりしているかを想像すること

6.もし相手の立場にあったとしたら自分はどのように考えたり感じたりするかを想像すること

7.他者が苦しんでいるのを見て苦痛を感じること

8.苦しんでいる他者に対する感情を抱くこと
 
(ジャン・デセティ他編『共感の社会神経科学」岡田顕宏訳、勁草書房)

引用:『他者の靴を履く』P30より

他者の靴を履いて、その人の立場になったつもりで考えてみること。

高価なものでも、

自分の好みと違っていても、

臭くても、

想像してみることが重要だということです。

そして、イギリスの名門私立校の教務主任がこのような言葉を言っているそうです。

エンパシーは教えることができます。

それは、人間に本来備わっている特性ではありません。

言い換えると、学ぶことができる!!

脳みそを使う

「魂の殺人」「教え込み」をされていると、想像したり考えたりすることを普段からしなくなってしまう、ということを私は書きました。

それは、どういうことかというと…

ペンケースは箱型というルールを与え、ルールを守りなさい、と大人は言います。(Wish#1)

だけど、本当は、

その時の子供たちの『心・考え方』を周りの人々が想像すること

これが大切なのです。

ある日の幼稚園で(Wish#1)ーお腹の中に蝶々がいるー

↑ 幼稚園で、K ちゃんに怒った S くんに対して「謝りなさい」と親は言いました。

もしかしたら、こうかな

違うとしたら、こうかな

K ちゃんのきょうだいの有無について知らなくても、想像して、考えることが必要です。

そこには、たくさんの『心・考え方』が隠れています。

その時の、親の気持ち、子供の気持ち、想像してみることが大切だと私は思います。

「謝りなさい」とだけ言うということは、子供の大切な学びの機会を奪っています。

大人の役割は、

子供の気持ちを聞いたり、その時の感情を言葉で表現してあげたりすること

このことに気付くことが大切だと思っています。

想像する、考えるというのは、脳みそを使います

元気なかぼちゃに「ルールを守ります」と言わせ、本当の『心・考え方』を多くの方は知ろうとしていません。(Wish#2)

これが、<想像する【癖・習慣】><考える【癖・習慣】>がない状態です。

出会った先生は、「本音」まで気付かせてくれる授業をやっていたでしょうか。

「かぼちゃが苦しんでいるかもしれない」と、想像したり考えたりした方は、いらっしゃるでしょうか。

戦争に行く人を造る教育をされていると、<想像したり考えたりする 癖・習慣>が無くなってしまう。

戦争に行かない【人間】を造る教育をされていると、<想像したり考えたりする 癖・習慣>が身に付く。

その教育が、政治にもつながっています。

PTA で大事にされているのは、古い慣習、正しいとされる考え方に従うことです。

本当に大事にされなくてはならないのは、自分の意志、自分の考え方に従うことです。

ヨーロッパの人々が発する言葉の裏にある温かさ・愛情深さのようなものは、脳みそを使って想像し、考えているから、にじみ出てくるのだと私は考えています。

大事なのは、誰かの『考え方』に従順になることではなく、1人1人の『心・考え方』だということが分かっているからです。

「思いやり」というのは、『心・考え方』を想像すること、

「優しさ」というのは、『心・考え方』を大事にする行動です。

大切なのは、

古い慣習や偽物ルールに従って生きることではなく、

自分の『心・意志』に従って生きること

真の「思いやり、優しさ」というのは

1人1人の心を想像し、1人1人の『心・意志』を大切にすること